「気付き」の場所

1月 21st, 2010


前回、雪の季節に感じられる生命の存在感について書いた。

それは決して人間の話に限ったことではない。たとえば、森にすむ小鳥たちについても同じことだ。

小さな十数グラム程度の一羽の鳥が、零下10度の冬の夜をいかに過ごすのだろう。降りしきる雪のなかでどのようにして糧を得るのだろうか。

野生の生き物ゆえに自然のなかで生きて当然とみなしてしまうとなんてことはないが、実際のところは、多くの小鳥たちがその生命を落としているのだろう。

僕たち人間には、小鳥たちの生活のディティールは見えてこないが、少し想像してみるだけで、そこに生きて、在ることの不確かさは感じることができるだろう。

ふだん、小鳥たちを見ながら、そこまでのことに思いを馳せることは多くはないが、雪降る梢の先で小さくも凛とした存在感を放つ小鳥たちに心を動かされるのは、たぶん、そういうことが自分自身の意識下にある生命の核となる部分と共鳴しているのだと思う。

小鳥たちに比べるとずいぶんと生ぬるい生き方ではあるが、僕たちもまた同じ時を生きる生命には違いないからだ。

こんなことを書いていると、ふと、雫石に移住せず、ずっと東京に暮らしていたら同じように、自然の理に共鳴できたかどうかという疑問もわいてくる。
当然、比べられるものではない。しかし、僕にとって、この岩手の雫石に暮らしていることは、いろんな意味での「気付き」を与えてくれる場所だと思っている。

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