雪の存在感

1月 19th, 2010

雫石は一面の雪に覆われている。移住者である僕は、一年でこの季節が最も好きだ。
もちろん、雪かきには悩まされることも少なくもないが、やはり雪こそが雫石らしさだと思う。
白い雪に抱かれた幻想的な光景が美しいというだけではない。

僕が、雪があることで強く意識するのは、生命の存在だ。生命感とでも言おうか。

雪が積もった田んぼの小道を登校する小学生、雪かきに精を出すおじいさん、吹雪の道を一心に歩くおばさんなど、日常の光景で見る人たちの存在が雪というシンプルな背景を前にすると、ほかの季節とは比べようのないほど浮き立って見える。

その人たちの姿は、あるときは雪に包みこまれてしまいそうなほど弱々しく、またあるときは、小さくも強い火種のような姿にも見える。そうした存在感は僕に「いま、ここで、生きている」という当たり前だけれど、ときに見えにくくなる言葉を静かに伝えてくれる。

雪国の優しさは、雪のなかに生きる人々の息づかいや体温が確かに感じられるからだと、雪の季節が来るたびに思う。



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