1月, 2010 Archives

「気付き」の場所

1月 21st, 2010


前回、雪の季節に感じられる生命の存在感について書いた。

それは決して人間の話に限ったことではない。たとえば、森にすむ小鳥たちについても同じことだ。

小さな十数グラム程度の一羽の鳥が、零下10度の冬の夜をいかに過ごすのだろう。降りしきる雪のなかでどのようにして糧を得るのだろうか。

野生の生き物ゆえに自然のなかで生きて当然とみなしてしまうとなんてことはないが、実際のところは、多くの小鳥たちがその生命を落としているのだろう。

僕たち人間には、小鳥たちの生活のディティールは見えてこないが、少し想像してみるだけで、そこに生きて、在ることの不確かさは感じることができるだろう。

ふだん、小鳥たちを見ながら、そこまでのことに思いを馳せることは多くはないが、雪降る梢の先で小さくも凛とした存在感を放つ小鳥たちに心を動かされるのは、たぶん、そういうことが自分自身の意識下にある生命の核となる部分と共鳴しているのだと思う。

小鳥たちに比べるとずいぶんと生ぬるい生き方ではあるが、僕たちもまた同じ時を生きる生命には違いないからだ。

こんなことを書いていると、ふと、雫石に移住せず、ずっと東京に暮らしていたら同じように、自然の理に共鳴できたかどうかという疑問もわいてくる。
当然、比べられるものではない。しかし、僕にとって、この岩手の雫石に暮らしていることは、いろんな意味での「気付き」を与えてくれる場所だと思っている。

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集英社文芸サイト「RENZABURO」にて、フォトストーリー「小さな伝記」を連載中です。
北の風土から拾い集めた小さな物語たちです。もし、僕の作品等にご興味のある方はこちらをのぞいてみてください。
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作品ページ=http://renzaburo.jp/contents/047-okuyama/047_hyoshi_001.html

雪の存在感

1月 19th, 2010

雫石は一面の雪に覆われている。移住者である僕は、一年でこの季節が最も好きだ。
もちろん、雪かきには悩まされることも少なくもないが、やはり雪こそが雫石らしさだと思う。
白い雪に抱かれた幻想的な光景が美しいというだけではない。

僕が、雪があることで強く意識するのは、生命の存在だ。生命感とでも言おうか。

雪が積もった田んぼの小道を登校する小学生、雪かきに精を出すおじいさん、吹雪の道を一心に歩くおばさんなど、日常の光景で見る人たちの存在が雪というシンプルな背景を前にすると、ほかの季節とは比べようのないほど浮き立って見える。

その人たちの姿は、あるときは雪に包みこまれてしまいそうなほど弱々しく、またあるときは、小さくも強い火種のような姿にも見える。そうした存在感は僕に「いま、ここで、生きている」という当たり前だけれど、ときに見えにくくなる言葉を静かに伝えてくれる。

雪国の優しさは、雪のなかに生きる人々の息づかいや体温が確かに感じられるからだと、雪の季節が来るたびに思う。



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いわての風土

1月 15th, 2010

はじめまして。雫石在住で写真家の奥山淳志と申します。

自己紹介をさせていただきますと、僕はいわゆるネイティブではありません。生まれは大阪で学生時代までは関西で育ったよく言われるところの「関西人」です。

そんな僕がなぜ雫石に暮らしているかというと、きっかけは宮沢賢治でした。

10年前の当時、まだ20代の前半だった僕は、東京で小さな出版社で雑誌なんかを作っていいたのですが、ふと思い立って、岩手への旅をはじめました。子供のときから読んでいた宮沢賢治の詩や童話の舞台を訪ねようと思ったからです。

そして、この旅こそが岩手に移住するきっかけになりました。はじめて訪れた岩手にすっかり魅了された僕は、以後、休暇の度に岩手に足を向け、次第に岩手に暮らしたいと思うようになったのでした。

岩手の魅力については、今後、折に触れ書くことになるので、詳しくは述べませんが、当時の僕は「どこにでもあるようで、どこにもない場所」と感じました。
そして、その感覚は今も続いているような気がしています。

さて、このブログのテーマですが、岩手の風土について書いていきたいと考えています。僕が岩手に住み、心を震わせるのがほかでもない「この土地の風土の持つ何か」だからです。よろしくお願いいたします。


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